西暦２２０６年。宇宙旅行が夢物語だった時代も今となっては遠い昔の話。 太陽系は完全に開拓され、人類は更なる繁栄を遂げていた。しかし、裕福な暮らしをしているのは地球に住んでいる人だけ。そんな２２０６年の夏、太陽系の小惑星でクーデターが起きた。 まだ見ぬ故郷・地球を侵略する為、ポマードで整えられた横分けヘアと、２０世紀末のファッションセンスが目に痛い自称・太陽系一のハンサムボーイ・アルマンド・アレハンドロ・シマダがクーデターを企てた。 そして、彼が地球侵略の足がかりに選んだのは、何と能登半島だった。 理由は『美味い蟹が喰いたいから』。すっかり平和になった地球に、もはや彼らを迎撃する装備はなく、無条件降伏は秒読みと思われた。 そんな、久々の有事をとてつもないビジネスチャンスと判断し、地球防衛の大役を率先して買って出たベンチャー企業があった。 私立珠洲岬(すずさき)学園内に設立された学内ベンチャー企業『株式会社ツバメ警備保障』。 ツバメ警備保障の女社長・古田は太陽系全体に中継された会見で、記者の質問にやんわりと言った。 『地球防衛が本当に出来るのかって？出来なきゃ引き受ける訳ないでしょう？』